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THE LIVELY 大阪本町

2021.07.01 | REPORTSpecial Feature

「ザ ライブリー大阪本町」1階のデリカテッセン「ザ ライブリーキッチン大阪」を見る。吹き抜けを介して、2階のマルチスペースへと空間がつながる。料理はホテル内外に持ち出すことができる

増刊『NEW STANDARD HOTEL』に掲載したものを再編集したものです


ゲストの多様な働き方を受け入れる 七つのパブリックスペース

グローバルエージェンツが運営するホテルブランド「THE LIVELY」。共用部の面積比率が大きく、1、2、14階を共用部として企画している。


1階にはレストラン&カフェを配置し、街に開くことで、宿泊ゲストだけではない多様なゲストのにぎわいをつくることを意図した。2階には、レセプションとマルチスペースを配置。ゲストが自由に使えるホテルラウンジの機能を持たせ、吹き抜けを介して上下階をつなぐことで、立体的な一体感が生まれるようにした。また、14階は宿泊ゲスト以外も利用できるバーとし、屋上へと続く階段でルーフトップテラスとの連続感をつくっている。


ホテル内には七つのパブリックスペースが設けられている。1階にはバイオエタノール暖炉を囲む、半屋外のテラス席が配された
ホテル内には七つのパブリックスペースが設けられている。1階にはバイオエタノール暖炉を囲む、半屋外のテラス席が配された


ファサード。前面道路にデリカテッセンのテラス席が隣接し、ホテルのにぎわいが街へとつながる
ファサード。前面道路にデリカテッセンのテラス席が隣接し、ホテルのにぎわいが街へとつながる


2階のマルチスペース。ホテルの朝食やイベントで使用される他、コワーキング利用者も受け入れる
2階のマルチスペース。ホテルの朝食やイベントで使用される他、コワーキング利用者も受け入れる


マルチスペースの朝食セッティングイメージ
マルチスペースの朝食セッティングイメージ


同フロアのロビーラウンジ
同フロアのロビーラウンジ


2階のエレベーターホールとロビーの間には回廊が設けられ、回廊床面の光のグリッドが壁面のハーフミラーに浮かび上がる
2階のエレベーターホールとロビーの間には回廊が設けられ、回廊床面の光のグリッドが壁面のハーフミラーに浮かび上がる


2階、アイランド型のチェックインカウンター。ブロンズ貼りのカウンターが間接照明で浮かび上がる
2階、アイランド型のチェックインカウンター。ブロンズ貼りのカウンターが間接照明で浮かび上がる


14階「THE LIVELY BAR」は、宿泊ゲスト以外も利用できる。右奥にはルーフトップテラスへと上がる階段が見える
14階「THE LIVELY BAR」は、宿泊ゲスト以外も利用できる。右奥にはルーフトップテラスへと上がる階段が見える


「THE LIVELY BAR」から上がった先にあるルーフトップテラス
「THE LIVELY BAR」から上がった先にあるルーフトップテラス

ロビーににぎわいを生む2階のマルチスペース

ファサードは、「ホテルの顔」ではなく「商業の顔」として構成。大胆な色使いとガラス張りで視認性を上げた吹き抜けにより、にぎやかさを演出している。また、フロントが2階にあることを逆手にとり、そこに至るまでのワクワク感をどのように演出できるかを考え、アプローチ壁面とエレベーターホールにデジタルアートを配置。動きのある表情をつくった。2階のエレベーターホールからフロントへと向かうと、ハーフミラーと光のグリッドで表現された「ブリッジ」がゲストを迎える。非日常へと足を踏み入れるシーンを構成した。


2階ロビーとマルチスペースの間は、大きなガラス建具で仕切り、マルチスペースでは朝食以外にもセミナーや貸し切りミーティング、コワーキングなど、用途に応じて「オープン/クローズ」を選択できる。ロビーに視覚的なにぎやかさを与えつつも、ホテル機能を保つための空間コントロールを図った。


客室はシャワールームを採用し、洗面をベッドルームに対してオープンに設置。コンパクトでありながらも面積以上の広がりを演出できるようにしている。また、パイプで構成されたガジェットフレームに客室機能を集約し、華美なデザイン演出よりも機能性とデザインの両立を重要視した。
〈寶田陵、杤尾直也/ザ・レンジデザイン+トリプル〉


ツインベッドと2段ベッドが備わった「スーペリアツイン&バンク」(37㎡)は、グループでの旅行やファミリー需要に対応する
ツインベッドと2段ベッドが備わった「スーペリアツイン&バンク」(37㎡)は、グループでの旅行やファミリー需要に対応する


バスタブ付きの「プレミアキング」(30㎡)。2面採光のコーナールーム
バスタブ付きの「プレミアキング」(30㎡)。2面採光のコーナールーム


同客室にはデスクも配され、ワーケーション需要にも応える環境を整えている
同客室にはデスクも配され、ワーケーション需要にも応える環境を整えている


パイプで構成したガジェットフレーム
パイプで構成したガジェットフレーム

「ザ ライブリー大阪本町」data

工事種別:一戸建て 新築
用途地域:商業地域
建ぺい率:実効65.36%<制限80%
容積率:実効799.37%<制限800%
構造と規模:S造 地上14階建て
敷地面積:701.30㎡
建築面積:469.99㎡
床面積:6205.88㎡/1階391.17㎡ 2階331.54㎡ 3〜14階各422.39㎡
工期:2018年3月1日〜2019年7月17日
施工協力:空調・給排水衛生設備/西日本装建工業 電気設備/西部電気建設 厨房設備/タニコー 照明器具/モデュレックス(1、2階) 家具/JTB商事 サイン/フレンズ


営業内容
開業:2019年8月17日
チェックイン/アウト:午後3時/午前11時
電話:(06)6484-8644
経営者:㈱グローバルエージェンツ
客室数:174室
平均客室単価:約1万2000円
主な付帯施設:バー、レストラン、ラウンジ、バンケット、テラス


主な仕上げ材料
屋根:外断熱アスファルト防水の上コンクリート押さえ WPC製デッキ(コーラルリーフ/アイオーシー
外壁:ALC 押し出し成形セメント板複合塗装
外部床・柱:磁器質タイル貼り
サイン:SUS焼き付け塗装
床:膨張コンクリートの上浸透性表面硬化剤塗布 コンクリート金ゴテ押さえ磁器質タイル貼り 客室/タイルカーペット敷き 塩ビタイル貼り
幅木:SUS 客室/ソフト幅木
壁:PB下地アルミ板貼り(アルミストーン/NSKニシダ工業) 磁器質タイル貼り AEP 客室/ビニルクロス貼り
天井:PB下地AEP 客室/ビニルクロス貼り
什器:客室/ガジェットフレーム・SUS黒皮塗装
照明器具:吹き抜け/バー・STコッパー近似色焼き付け+曇りガラスブラスト仕上げ ペンダントライト(Copper Round Pendant/トム・ディクソン)

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エースホテル京都/NTTファシリティーズ 隈研吾建築都市設計事務所 Commune Design(『商店建築』2020年6月号掲載)

ザ ノット東京新宿/山路哲生建築設計事務所 Y.K.D. デザインスタジオ グラム(『商店建築』2019年2月号掲載)

増刊『NEW STANDARD HOTEL』はこちら⇒

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商店建築 特別企画 NEW STANDARD HOTEL

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東京オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルスの影響で延期となり、2020年に開催されることはありませんでした。しかし近年、国内外の観光客を迎えるために数多くの宿泊施設が開業を迎えており、それぞれが意図した宿泊スタイルには大きな進化を感じさせるものがあります。そこで、月刊『商店建築』の特別企画として、ウィズコロナやアフターコロナを踏まえたホテルデザインを一冊にまとめました。『商店建築』にはまだ掲載されていない、新たな宿泊スタイルを提案する25件のホテルや旅館を紹介。写真や図面、設計者による解説原稿、設計データ、営業データを通して、どのような強みを持っているのかを探っていきます。

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