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サンゲツ ✕ 橋本夕紀夫 カーペットタイルという新しい選択肢
「LW」ラグジュアリーカーペットタイル

2016.06.09 | INTERVIEW

インテリアデザインは施設の用途や目的にかかわらず、そのコンセプトやスタンスによってより多様化していると言える。一面的に意匠や快適性を追求するだけでなく、安全性やコスト、CSRなど求められる要件や責任も複雑化し、かつ伸張しつつあるのが現状だ。多様なものを包容できるデザイン力が求められている。

カーペットタイルは、カーペット素材の持つ柔らかで上質な歩行感と保温や防音、防炎といった性能を持ちながら、高い施工性や搬入・メンテナンスの利便性などのメリットを享受できる。
サンゲツの新ブランド「LW」は、同社が提案する、世界の新しいトレンドを踏まえた意欲的なシリーズだ。カーペットタイルの特性を生かしつつ、独創的なアイデアや技術を取り入れたものが中心となる。
懐の深い、豊富なデザインボキャブラリーで、ショップやレストランを始め、ホテルやオフィス、住宅、医療施設など文字どおり多種多様な空間のデザインを手掛ける橋本夕紀夫氏。日本にとどまらず世界のインテリアのフロントラインに立つ同氏に、「LW」の実物を手に取りながらカーペットタイルによるインテリアデザインの可能性を語ってもらった。

橋本 ー カーペットタイルも質感や柄のバリエーションが豊富になってきて、非常に進化していると感じます。「オフィスで使うもの」という考えは古いものになってきていて、床材として積極的に選べるオプションになり得てきました。我々も工期など制約が厳しいときには、カーペットタイルに頼るときがあります。例えば、部分的な改装しかできないようなリノベーション。オフィスなどでは什器や家具がどうしても事務機器的なもので占めてしまう。あえて床だけ色味の鮮やかなものや強いパターンを置くことで、空間における居心地感やイメージを変えることができます。
床は面積も大きいし、目に触れやすいので効果が高い。全体でバランスを考えながら手を加えれば、デザインした部分の魅力が引き立つ。床が主役になることだってあり得るわけです。

多種多様で価格帯に幅のあるカーペットタイルの中でも、「LW」は存在感を放つラインアップとした。サンゲツが世界の数多ある商品からインテリアデザインの潮流を見据えつつ、厳選し輸入したものだ。米・シカゴのインテリア国際会議・見本市「NeoCon」で金賞を受賞したものなど、客観的な評価も基準の一つとした。
六つのコレクション、8柄32種類を揃えた。菱形のカーペットタイル、平行四辺形の塩ビタイル、610角のカーペットタイルを組み合わせて使う「MIXED MATERIALS」、ブロック柄をプラスした豊かな有彩色が特徴のグラデーションと無地の組み合わせでパターンの変化を楽しめる「CODE TRANSITION」、海外ならではの彩色と幾何学柄のグラフィックを特徴とした「OFF THE WALL」とそのグラデーション柄となる「POP ICON」、海外から見た「和」を連想させる墨流しのようなグラフィックを大胆なカラーでまとめた「JACKSON」、914×457㎜という異形サイズで筆書きのようなストロークの勢いを表現した「STRING THEORY」。
変化をつけた織りや、全体で立体感や階調をグラフィカルに見せるデザイン、日本の製品では見られない色彩感覚などで、それぞれに個性のある魅力を持たせつつトレンドの空気感を持ったシリーズだ。

「MIXED MATERIALS」の施工事例を確認する橋本氏

橋本 ー カーペットタイルでは、高級品でも質感重視で色のバリエーションは多めにしつつ、どこでも使えるようなラインアップになりがちです。
この「LW」シリーズは、“攻めのセレクション”という感じがして、それぞれのキャラクターが立っていますし、今の日本の流れからすると面白い商品展開だと言えます。先ほども申し上げたように、空間全体のバランスを考えて、コントラストを付けようとすれば、むしろ都合がいい。
また、インテリアデザイナーとしては、カーペット自体の質感、テクスチャーや素材感というものに目がいきます。色や織りが複雑であることで、より豊かな奥行きの感じられるようなものはいいですね。こういう他の製品では見られないようなものは私も使ってみたくなります。

コレクションの中でも特徴的な「MIXED MATERIALS」。菱形のカーペットタイル「GEOMETRIX」、平行四辺形の(GEOMETRIXの半分のサイズで2枚で菱形になる)塩ビタイル「METALLIX」、そして610角の単色カーペットタイル「COLOR CHOICE」をそれぞれ組み合わせて使う米・patcraft社の製品だ。異なる形状、異なる素材、異なるパターンを自由にアンサンブルして単純な貼り分けによるデザインでは表現できないオリジナルのフロアデザインを実現できる。

橋本 ー この菱形というのは非常に面白いですね。正方形だけではパターンが規則的になって、全体として敷いた時のマテリアル感が出しづらいのですが、斜めのカットやラインができることでデザインのバリエーションが出てきます。供給側-メーカーの手を離れて、使う側の自由度が高まっていく。デザイナーの創造性で製品の可能性が広がっていくことになるわけです。
また、塩ビ素材のものと合わせて使うというアイデアもいいと思います。異素材を組み合わせると、それぞれの質感が引き立ってきます。例えばフラットな固い舗装タイルと本物の芝生のように、テクスチャーの違うものが並び合うことで、床という一つの面の中でも奥行きが生まれるのです。

素材のポテンシャルをいかに引き出せるかは、デザイナーが本領を見せるところでもある。素材そのものの表情や性質だけでなく、周りとの関係性にも目を向けて選んでいくことも必要だろう。
限られた与条件の中でも、デザインの可能性を広げられる。「LW」は、新たな選択肢としてのポテンシャルを十分に感じることができる。

橋本夕紀夫
スーパーポテトを経て1996年独立、橋本夕紀夫デザインスタジオを設立。主な物件に「橙家」「過門香」「BEAMS HOUSE」「ザ・ペニンシュラ東京」「相田みつを美術館」などがある。「物質ではなく、そこにある空気をデザインしたい」をコンセプトにした空間デザインを生み出している。

サンゲツ

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