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普遍性と上質さを軸に、幅広い空間をデザイン/Old Kan

2025.11.28 | レポート

上/「La villa Hiro-o」。クライアントが感銘を受けたギリシャ・サントリーニ島の景色に着想を得た。ソファ横に柔らかな曲面を持つ木製アートワークを置き、アクセントにブルーを配した(プロデュース/施工:ユニオンテック)


Old Kan(オールドカン)は、浦田晶平氏が率いるインテリアデザイン事務所だ。2020年創業と若い会社ながら、物販店やクリニック、飲食店、ホテルなど多様な空間を手掛けている。それは浦田氏が、前職でホテルの内装設計を多数担当してきたことが大きい。ホテルにはさまざまな機能の空間が詰まっており、その経験があるゆえに、あらゆるジャンルに対応できることが強みだと言う。
そのデザインに通底するのが、「普遍性」と「上質さ」。そして社名にも込められた「古き良きもの」への敬意である。「流行に左右されず、飽きのこない普遍性と上質さが備わった空間を意識しています。上質さとは見た目だけでなく、細部まで行き届いた配慮から生まれるものです。そしてどこか懐かしさのある質感を大切に、時間の経過とともに味わいを深める空間を目指しています」と浦田氏は語る。
設計では、クライアントとの対話を大切にする。自身が実際に訪れた場所の写真を見せながら、イメージを共有することが多いと言う。「会話が弾むきっかけにもなるし、自分が体験した空間は、説得力を持って話すことができます。そうしたコミュニケーションの中で、表現すべき世界観を共有していきます」。
Old Kanが創業まもなく手掛けたのが、「BONAVENTURA(ボナベンチュラ)表参道店」。イタリア・ミラノ発のレザーグッズブランドの日本初出店で、コンペにより設計者として選ばれた。それを皮切りに同ブランドの国内外の複数店舗の内装を担当し、2023年には旗艦店「BONAVENTURA銀座店」(2025年5月号掲載)の設計を担った。テーマは「イタリアンモダン」で、印象的ならせん階段を中心に据え、モールディングやレリーフなど細部の意匠やマテリアルで、ヨーロッパのスタイルをさりげなく表現している。
他にも、一見ホテルラウンジのような待ち合いスペースを持つ美容クリニック「La villa Hiro-o」、古材をバランス良く用い上質な飲食空間を実現した「焼肉神石西麻布店」など、用途の異なる空間を設計している。どの空間も、シンプルな構成にさりげないエッセンスで世界観を表現し、細やかな設計の積み重ねが普遍性や上質さを宿す。



「BONAVENTURA銀座店」。イタリアンモダンをテーマに2フロアでブランドの世界観を表現。家具は、同ブランドのレザーを使用した、Old Kanによるオリジナルデザイン(施工:スペース)
「BONAVENTURA銀座店」。イタリアンモダンをテーマに2フロアでブランドの世界観を表現。家具は、同ブランドのレザーを使用した、Old Kanによるオリジナルデザイン(施工:スペース)


「焼肉神石西麻布店」。解体した古民家の欄間をカウンター上の下り壁に象徴的にはめ込み、竿縁天井や真壁風の壁材にも移築材を使用。時間を経た古材に金属材を組み合わせ、光の演出で上質さを生んでいる(施工:ヘンダーソン)
「焼肉神石西麻布店」。解体した古民家の欄間をカウンター上の下り壁に象徴的にはめ込み、竿縁天井や真壁風の壁材にも移築材を使用。時間を経た古材に金属材を組み合わせ、光の演出で上質さを生んでいる(施工:ヘンダーソン)

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