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ORGATEC TOKYO 2025
2025.07.28 | レポート
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上/新型オフィスチェア「ingCloud(イングクラウド)」1脚にフォーカスしたコクヨのブース。ORGATEC TOKYO Awardsにおいてコンセプトを体現したブースデザインが評価され、「グランプリ」「出展者が選ぶベストブース賞」の二冠を獲得
開催日/ 2025年6月3日~5日 会場/東京ビッグサイト(南1~4ホール) 主催/ケルンメッセ株式会社 一般社団法人日本オフィス家具協会
南1、2ホール全景。15の国と地域から157社が出展し、連日活発なプレゼンテーションと商談が行われた
南3、4ホールの中央に設けられたイベントスペース「エクスペリエンスエリア」では、最新のオフィストレンドを学べるセミナーを実施。写真は6月5日に開催された、建築家の加藤匡毅氏(Puddle)をゲストスピーカーとして登壇した「オフィスワーカーが心地よく働くための“ デザイン” 」の様子
今年で4度目の開催を迎えた、ドイツ・ケルン発のオフィス家具と設備の国際トレードショー「オルガテック東京2025」。6月3日から5日にかけて、東京ビッグサイト南1~ 4ホールにて開催され、今年は15の国と地域から157社(うち国内83社)が出展し、会期中は前回を上回る約45000人の来場者が訪れ、会場は連日活気に満ちていた。
“選ばれるワークスタイル“の本質を探る、体験型展示と対話の場を目指し、継続テーマ「SHIFT DESIGN(シフトデザイン)」を軸に、さらに本トレードショーでは、その思想を進化させた新基軸「BORDERLESS(ボーダレス)~オフィスは私へ~」を打ち出した「。働く場所が広がる」という従来の枠組みを超えて、オフィス空間そのものが“私らしさ”に寄り添い、柔軟で多様な在り方へと進化する視点を提示した。コロナ禍を経験し、新たにリモートでの働き方が定着する中で、人がオフィスに集まることでコミュニケーションやアイデアが生まれることの重要性もまた、再注目されている。だからこそ、居住空間のようなやわらかさやリラックスできる設備を導入し、”働く“という行為がよりパーソナルに、感覚的に最適化されていく時代に突入したと言える。家の快適さやリラックスした雰囲気に劣らず、行きたくなるオフィス空間、つまり自ら選びたくなるオフィス空間を構築するためのアイテムや設備、そして働き方について出展者は趣向を凝らした展示を行い、来場者に新たな気づきと未来の働き方を提示した。
会場は上下階を活用した動線設計に基づき、来場者の回遊性を高めた。上階に当たる南3、4ホールは初の試みとして、ドイツ・ケルンで導入された展示方式に則り、ホール照明の照度を落とし、各ブースのライティング演出によって独自の世界観を表現した。光と空間デザインによる没入感に浸れるブースが多く、より五感で体感するオフィス提案が目を引いた。こうした展示会の中で、「シフトデザイン」の思想を基盤として、ブランドが掲げたコンセプトをより具現化したブースデザインを表現した企業に贈られる「オルガテック東京アワード」では、コクヨがグランプリを受賞。新作の椅子1点だけをフォーカスした潔さと、美しい空間演出、雲の上に座るような座り心地を体感して、プロダクトの本質に触れられる点が高く評価された。さらに同社は出展者が選ぶベストブース賞にも選ばれ、二冠を獲得した。そして、オカムラ、プラス、HIDAのブースが、ブランドの独自性を表現したデザインが評価され、準グランプリに選出された。
南3、4ホールの中央に設けられたイベントスペース「エクスペリエンスエリア」では、連日オフィスデザインや働き方をテーマに掲げたトークセミナーを開催。オフィス空間を多数手掛ける建築家のほか、出展メーカーによるプレゼンテーションが行われ、ステージのメインスクリーンの横ではAIによるリアルタイム翻訳が映し出され、海外の来場者の姿も多数見られ、グローバルなトレードショーであることを印象づけた。
大盛況のうちに幕を閉じた「オルガテック東京2025」。次回は2026年6月2日~4日、東京ビッグサイト南1~4ホールにて開催予定だ。
南1ホールに初出展した無印良品は、モジュールで展開する収納家具を中心とした法人向け空間商材を紹介
オルガテック東京アワード」準グランプリを受賞した「HIDA」ブース。ブース構成も手掛けたFLOOATがデザインした家具プロダクト「TUTU」を中心に、毎日ブースのレイアウトを変更し、プロダクトの組み合わせの自由さと、訪れる度に違うつながりを体感できるユニークな演出が話題を集めた
オフィスでのコミュニケーションの活性化を目的としたサントリーの「社長のおごり自販機」の体験コーナーは、連日長蛇の列が出来るほど人気を博した