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伝統と技術が支える挑戦が、テキスタイルの可能性を広げる/川島織物セルコン
2025.07.28 | レポート
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上/ブース中央には、直径約2.4mの布製ランプシェードを設置。84枚の布を縫製し花びらのような造形に。まさにブースのシンボルとして咲き誇った
1843年に創業し、京都に本社を構えるファブリックメーカー・川島織物セルコンは、「textile study(テキスタイルスタディ)」と題し、「テキスタイルの可能性を広げる五つの実験」に焦点を当てて展示。商品化前のものも含め、現在同社が取り組んでいる技術や試みが紹介された。
一つ目は、「天井装飾/ランプシェード」。2025年3月に惜しまれつつ閉館したDIC川村記念美術館のエントランスに設置されていた直径7mの大型ランプシェードを3分の1スケールで再現し、ブース中央に吊り下げた。84枚の布を縫製によってつなぎ合わせ、立体的に構成した造形は、繊細な陰影と柔らかな光を放ち、テキスタイルが空間にもたらしうる価値を伝えていた。
二つ目から四つ目の試みとして、同社の壁面装飾システム「FAB-ACE(ファブエース)」の新しい提案を展示。マグネット着脱式で容易に設置や入れ替えができる吸音パネルの提案や、曲面壁へのきれいな張り込みを実現する技術の紹介のほか、「FAB-ACEスクリーン」を使用し、1889年パリ万博から2025年大阪・関西万博までの万博との歩みを紹介した動画を上映するなど、テキスタイルを壁面に取り入れるさまざまな方法を示した。川島織物セルコンと万博とのつながりを紹介した動画は、特設サイト(https://www.kawashimaselkon.co.jp/event/expo2025/)で公開している。
五つ目は、「新機能タイルカーペット」として、タイルカーペット「scape form(スケープフォーム)」を紹介。これは、ワックスやコーティング製品メーカーのリンレイと共同開発したもので、汚れ防止機能を備えている。カーペットのパイルにあらかじめ特殊薬剤を付加することで、土汚れが付着しても掃除機による吸引だけで容易に除去できる。会場では、実際に土を付けて掃除機で吸引するデモンストレーションも行われ、その実用性が示された。
さらに会場の一角には、2025年秋発売予定のハンドタフトラグ「KOTOSOME(コトソメ)」シリーズの新作を展示。京都の自社工場で職人が手仕事でつくり上げるラグシリーズで、枯山水をモチーフとした「ZENGARDEN(ゼンガーデン)」と、四季折々の自然からインスピレーションを受けた「SHIKI(シキ)」の2種類が、壁面を彩った。長年培ってきた伝統と技術に、新たな挑戦を掛け合わせた展示は、テキスタイルが空間にもたらす可能性の広がりを体感できるものとなった。
2025 年秋に発売予定のラグ「SHIKI」( 左)と「ZENGARDEN」( 右)。SHIKI は3 種類のデザインからなる500㎜角のピースを組み合わせて自由に配置するモジュールタイプ
展示ブースの様子。「textile study」をテーマに新たな試みを展示
川島織物セルコン
- TEL. 03-5144-3980
- URL. https://www.kawashimaselkon.co.jp/