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チェアマスターが伝える「100のイス、100の知恵」/オカムラ

2025.07.28 | レポート

上/本足場材をサークル状に組み上げたブース全景。展示会終了後は解体し再利用される。座るという行為をものづくりの原点から問い直し、光と構成美・知性あるインスタレーションが来場者の記憶に残ったと評価され、「ORGATEC TOKYO Awards」準グランプリを受賞した


外周には約100 脚の椅子を展示し、中央の円型カウンターで、オカムラの4 つのこだわりが体験できる
外周には約100 脚の椅子を展示し、中央の円型カウンターで、オカムラの4 つのこだわりが体験できる


オルガテック東京2025にて、シルバーの足場材でサークル状に組み上げられたフレームの中に、約100脚の椅子がぐるりと囲む、迫力ある会場構成が一際目を引いたのがオカムラのブースだ。同社が掲げたのは「チェア、イス、オカムラ」―日本の座るを支えていく―というテーマである。1945年に航空機の技術者によって創業した歴史を持つ同社は、航空機製造で培ってきた技術力を生かし、それまで木製が主流だった家具製造において、耐久性の高いスチール製の家具製造にいち早く取り組んできた。1961年に日本のオフィスチェアのスタンダードとなる「22シリーズ」を発表し、回転機構、座面調節、ロッキング機能など、現代のオフィスチェアにも通じる機能が搭載された。以降60年以上の年月をかけて、オフィスを中心に、駅、空港、図書館、学校、スタジアムなど、あらゆる場所で無数の椅子をつくり続けてきた歴史と知見を基に、今回、約100脚の椅子を通して改めて「座るとは何か」を見つめ直し、椅子の価値や可能性を伝える展示を行った。
360°ぐるりと約100脚の椅子に囲まれたブースに入ると、まず目に飛び込んできたのは、中央のサークル状のカウンターだ。カウンターの内側にはグレーのエプロンとバッジをつけた「オカムラチェアマスター」が駐在する。チェアマスターとは、椅子に秘められた機能や心づかいまでも深く理解し、認定を受けた社員だけが持つ称号である。同社の部署や役職の垣根を超えて、椅子を愛するチェアマスターが、人間工学に基づく好ましい座り方なども交えながら、来場者にオカムラの椅子のこだわりを詳しく説明した。
中央のカウンターでは、チェアマスターの解説とともに、オカムラならではのこだわりの技術を体験できるエリアを設置。長時間座ってもお尻が痛くなりにくい「異硬度クッション」、くるぶしを中心に自然な動きでスムーズにリクライニングできる「アンクルチルトリクライニング」、西陣織の技術を応用した「オリジナルのメッシュ」、体格に合わせて背もたれのカーブを変えられる「調節機能」の4つの技術だ。それぞれを来場者自身が試し、その機能や座り心地を実感することで、オカムラの椅子の本質的な価値を伝えた。
オカムラの椅子には、すべてに知恵がある。例えば「Contessa II」は、同社が思い描く理想の座り心地を追求した椅子で、アームレストの先端に使用頻度の高い操作レバーを集約した「スマートオペレーション」を搭載する。指先だけで、リクライニングや座面の高さ調節が簡単にできる。「Sylphy」は、背面の両サイドにあるレバーを上下させることで、背もたれのカーブを広げたり狭めたりできる「バックカーブアジャスト機構」を搭載。小柄の人や大柄の人など、多様な体型の人が同じ椅子を共有できる。また環境配慮の知恵の証として、国内家具メーカーで唯一、製品の化学成分を開示する国際的な環境ラベル「Declare Label」を取得した3製品と、家具の環境負荷や健康への影響を多面的に評価する「LEVEL 認証」の最高評価「Level 3」を取得している18 製品を展示。中央のカウンターだけでなく、いたる場所でチェアマスターの解説を聞きながら、実際にさまざまな椅子を順番に座り比べることで、それぞれの椅子の特徴をより鮮明に理解することができる。業種や職種によって、オフィスチェアに求められる機能は異なる。ワーカーが快適に働け、さらに安心して身体を預けられる椅子であることを前提に、多種多様な機能を用意することで、それぞれのワーカーにとっての最適解の椅子を選ぶことで、生産性や創造性が増すことだろう。



3 種類のクッションを座り比べできるエリア。チェアマスターが構造キットを使い、オカムラ独自の異硬度クッションの座り心地の秘訣を解説した
3 種類のクッションを座り比べできるエリア。チェアマスターが構造キットを使い、オカムラ独自の異硬度クッションの座り心地の秘訣を解説した


椅子の役割や目的に合わせて開発されたオリジナルメッシュの糸や織り方の工夫を伝える。背もたれと座面でメッシュを織り分けるというオカムラの並々ならぬこだわりを伝えていた
椅子の役割や目的に合わせて開発されたオリジナルメッシュの糸や織り方の工夫を伝える。背もたれと座面でメッシュを織り分けるというオカムラの並々ならぬこだわりを伝えていた


新作の「Flotte」。スマートなフォルムでありながら、ラグジュアリーな印象のカンファレンスチェア
新作の「Flotte」。スマートなフォルムでありながら、ラグジュアリーな印象のカンファレンスチェア


新作の「Emino」。柔らかな印象のフォルムにブークレ生地を合わせ、空間を穏やかに演出し、コミュニケーションの促進を生みだす
新作の「Emino」。柔らかな印象のフォルムにブークレ生地を合わせ、空間を穏やかに演出し、コミュニケーションの促進を生みだす

オカムラ

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