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現代建築とインテリアに歴史的革新をもたらした和紙活用素材/ワーロン
2025.07.28 | レポート
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上/本物の和紙を強化して機能性を高めた「ワーロンシート」。和紙の風合いはそのままに、張り・コシ感のある素材できれいなカーブ感を保つ。防炎製品認定品。発売から65年以上を経過した今も売れ続けているロングセラー商品だ(写真:工芸和紙シリーズ)
ワーロンは1922年に創業した百年以上の歴史を持つインテリア素材メーカーである。セルロイド玩具の製造からスタートし、戦後にセルロイドの可燃性を解決するため、難燃性樹脂の開発過程で塩化ビニール樹脂と和紙を貼り合わせた「ワーロンシート」を開発。“ 破れにくく、水洗いできる障子紙” のコンセプトで誕生した同商品は、皇居新宮殿御用材として宮内庁に採用され、また、汎用性の高い製品であったために、シェード材として照明メーカー各社にも次々と採用されていった。以降、高い耐久性、防炎性、意匠性を併せ持つ「ワーロンシート」は、建具や照明器具だけでなく、光壁やディスプレイといった空間装飾材、間仕切り、サイン看板、水まわり装飾材など活躍のシーンを拡げていき、発売から65年が経過した今日でも同社の看板商品として君臨し続けている。
他にも、樹脂の厚みを変えて和紙の美しさをそのままにプレート状にした「ワーロンプレート」。和紙をPET素材でラミネートした「ワーロンPET シート」。和紙柄のプリントフィルムを塩化ビニール樹脂で両面からラミネートした「ワーロン耐水シート」。和紙の風合いはそのままに、難破性能等の機能を高めた「強化障子紙 タフ・トップ」。軽くて安全な透光性意匠パネル「ワーロンMPSプレート」。和紙の風合いを取り込んだガラス装飾フィルム「ハルワーロン」。そして、和紙を始めとする天然素材の意匠を忠実に再現したアクリル装飾樹脂板の「アクリワーロン」など、同社のコア技術であるラミネート技術とプレス技術を生かした商品を数多く発売。さらにアクリワーロンには、エコマーク認定を取得した再生アクリルを使用したタイプもあり、環境貢献にも寄与している。
ワーロンでは、2021年から全国の特産和紙と独自のラミネート技術をコラボレーションし、インテリア素材として和紙の利用範囲を拡充していこうと「WLS ワーロンラミネートソリューション」を展開している。同社は今後も和紙産地と共存共栄を目指しながら、海外にも和紙の魅力を発信していく活動を続けていく。
和紙の趣ある風合いや独特の質感を最大限に生かし、空間内の光を優しく広げる障子・建具用途の事例。破れやすい、汚れやすい、燃えやすいといった和紙の弱点を独自のラミネート技術で克服している
設計者やデザイナーの空間創造、プロダクト開発に寄り添う課題解決の場を提供すべく、名古屋本社の1 階に2025 年4月にオープンした「ワーロン展示ルーム」。“Make Inspiration more creative” をコンセプトとした空間には、さまざまなプロダクトや大判サイズで全体の柄や透過光・反射光を確認でき、じっくりと検討できるようになっている
ワーロン
- TEL. 052-451-1456
- URL. https://www.warlon.co.jp/