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ビジネスをもデザインしていく日本一小さなゼネコン/ユーロJスペース

2025.07.28 | レポート

上/「PETALS TOKYO」の客室は4室すべてが40平米以上のゆとりある空間で、内装が異なる。写真は最も広い「PETAL2-Elegant&Luxury」。アルフレックスの家具やルイスポールセンの照明などを採用し、上質で落ち着いたデザインに仕上げた


1998年、北欧住宅の設計・施工からスタートしたユーロJスペース。以降、家具やファブリック、庭のランドスケープに至るまで、家に付随するさまざまなデザインを手掛け、2007年には寺田倉庫による東京・天王洲の再開発プロジェクトへの参画をきっかけに商業の分野にも進出。現在では、ホテルや飲食店を始めとした数多くの商業空間を生み出している。施主の要望を汲み取りつつ、一生住み続けられる家をつくる住宅設計の世界では一切の妥協は許されない。その企業姿勢は商業施設づくりにも踏襲されており、この住宅設計から始まった歴史こそが同社のデザイン面での強みとなっている、と代表の穂満慎一氏は語る。
また、常に遊び心を取り入れたデザインワークも同社ならではの特長である。倉庫街からアートシティへと変貌を遂げた東京・天王洲において、2020年にデザインを手掛けた日本初の水上ホテル
「PETALS TOKYO」は、その好例と言えるだろう。FRP製の4隻の小舟からなるこのホテルは、色とりどりのカラーリングやさまざまな素材で1隻1 隻の外観が異なるだけでなく、それぞれの客室内のインテリアもすべて異なる設えとなっている。ここを訪れたゲストは、まず、運河に浮かぶアートのような舟を見て驚き、室内に一歩入ると、そこで上質でラグジュアリーな空間にさらに驚かされることだろう。カルディコーヒーファームが運営するカフェ・レストラン「カフェ カルディーノ」も同様だ。東京都内を中心に展開する店舗の意匠はそれぞれが全て異なり、多彩な色と素材を組み合わせた遊び心溢れるデザインがなされている。この「カフェ カルディーノ」も含め、取り扱う案件のほとんどで、ユーロJスペースがデザインしているのは目に見えるものだけではない。新たな事業展開を目指すオーナーと向き合い、共にビジネスをもデザインし、それが空間へと落とし込まれている。このこともまた、同社が家づくりで培ったノウハウが源になっていると言えるだろう。
ユーロJスペースは、社員数10人ほどの会社でありながら特定建設業許可を取得しており、自らを“日本一小さなゼネコン”と称する。今後は、高齢化が進むであろう未来に向け、空洞化する空きスペースを生きた空間へと変貌させるリカバリー事業にも積極的に取り組んでいくという。今後の同社の動向に注目したい。



天王洲の運河に浮かぶ4隻の小舟からなるホテル「PETALS TOKYO」の外観。ハンドクラフトの味わいを大切に、カラフルな塗装とタイル、鉄、レンガなど多様な素材を混在させたデザインが目を引く
天王洲の運河に浮かぶ4隻の小舟からなるホテル「PETALS TOKYO」の外観。ハンドクラフトの味わいを大切に、カラフルな塗装とタイル、鉄、レンガなど多様な素材を混在させたデザインが目を引く


カルディコーヒーファームが取り扱う商品は多種多様。まるで、それに呼応するかのように、カフェブランド「カフェ カルディーノ」の店舗デザインでも異なるカラーリングや素材などが採用されている
カルディコーヒーファームが取り扱う商品は多種多様。まるで、それに呼応するかのように、カフェブランド「カフェ カルディーノ」の店舗デザインでも異なるカラーリングや素材などが採用されている


ユーロJスペース

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