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屋内外で幅広く活用できる軽量で本格的なブリック&石調素材/キャン’エンタープライゼズ

2025.07.28 | レポート

上/醸造所併設のブルワリーレストラン・クラフトビアバー「T.Y.HARBOR」(設計:KROW、撮影:松本晃)壁面に「CAN’ BRICK スタンダード(STD-30)」を使用した事例


アンティークの世界では、“時間の経過”を価値と捉え、モノを愛おしむ。しかし現代の建材では、建物が完成した瞬間が最も美しく、その後は劣化していく一方という印象が根強く残りがちだ。こうした中、近年では「経年変化」を味わいとして受け入れ、空間の魅力として生かす動きが広がっている。このような動向に先駆け、経年美の備わる建材を追求してきたのが、長年の歴史を持つキャン’エンタープライゼズだ。
同社は1997年に設立され、そのルーツは1955年創業の「内海商店」にまでさかのぼる。セメントやコンクリート製品の製造を出発点とし、1992年の人造石の開発を皮切りに、現在の事業の礎を築いた。同社の柱となるのは、ブリックタイルの「CAN’ BRICK」と擬石の「CAN’ STONE」である。これらはすべて自社国内工場で製造されており、本物のレンガや石の表情を忠実に再現するため、スタッフが一つひとつ手作業で丁寧に仕上げている。セメント製品でありながら、JIS規格のタイル基準での曲げ強度や耐摩耗性、耐久性を備えている。また、アンティークな質感を再現すべく、骨材から調合を行った15色の目地材を含め、自社オリジナルの副資材も展開している。本物のレンガや天然石は、風雨でエッジが削れ、時が経るごとに味わいが宿る素材だ。その一方で、レンガの標準サイズで210×100×60㎜(日本産業規格の場合)、1個あたり2.5kgほどと重く、本来はモルタルを用いて積み上げる湿式工法を前提とした建材である。そのため、商業空間の内装では扱いづらい建材とされていた。重量のある石材も同様だ。そこでこれらのデメリットを解決すべく、同社では長年の研究を重ね、独自開発のモルタルを使用することで薄くて軽量な材料を生み出した。使用場所を選ばず、屋内外での活用が可能で、寒冷地での使用にも柔軟に対応する。その上で、テクスチャー、色ともリアルそのものを追求。「色が要」という考えのもと、色ムラも含めて自然な表情を再現できるのは、約30年に及ぶ開発技術の蓄積があってこそだ。
現在、CAN’ BRICK 15種(全45色)、CAN’ STONE 16種(全40色)をラインアップしており、特注も請け負っている。設計者・デザイナーから持ち込まれた実物の石をもとに新たな型を起こしたり、既存商品の色変更に対応するなど、イメージに寄り添う柔軟な対応も魅力だ。将来的な廃番もないため、補修や増築時にも安心である。さらに、高温焼成を必要としない製法のため、砕けば骨材としてリサイクル可能。環境負荷が課題となる現代において、サステナブルな建材としても注目を集めており、現在は海外展開も積極的に行っている。



「CAN’ BRICK」は、本物のレンガが持つ自然な凹凸や色味を細部に至るまで精緻に再現しており、本物のレンガと見まちがうほどのリアリティーが魅力
「CAN’ BRICK」は、本物のレンガが持つ自然な凹凸や色味を細部に至るまで精緻に再現しており、本物のレンガと見まちがうほどのリアリティーが魅力


不定形の石を忠実に再現した「CAN’ STONE」。重量は本石の1/ 2 ほどに抑えられており、運搬時や施工性に大きなメリットが得られる
不定形の石を忠実に再現した「CAN’ STONE」。重量は本石の1/ 2 ほどに抑えられており、運搬時や施工性に大きなメリットが得られる



キャン’エンタープライゼズ

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