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展示会ブースに使用される素材は、従来の施工の概念を覆す/ベレイマージ
2023.05.26 | SHOWROOM
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ショールームでまず目に入るハニカムボード製のグランドピアノとバーカウンター。意見交換する竹村氏(左)と町屋氏(右)。後方の黒い柱もハニカムボード製
GUEST
竹村尚久氏(スーパーペンギン)
https://www.superpenguin.jp/
〈近作〉
金沢FORUS/MIHON- ICHI、半オンライン展示会 PHASE など
大型インクジェットプリンターやカッティングマシンを駆使して、広告用の看板やタペストリー、切り文字などを製作するベレイマージ。社長の町屋佐知子氏は新型コロナウイルスが拡大した2020年、本社・工場から徒歩3分ほどの場所にショールームを開設。「“平面から立体へ、モノづくりからまちづくりへ”をコンセプトに、空間づくりのお手伝いができる場にしようと考えました」。
同所を訪れたのは、展示会のブースデザインを手がけるスーパーペンギンの竹村尚久氏。足を踏み入れて、目を奪われたのはグランドピアノだった。その前にはバーカウンターも。「すべて展示会什器などによく使われている紙製のハニカムボードでできています」と町屋さんは説明する。ピアノにはフィルムをラミネートして光沢を表現し、パネルに木目をダイレクト印刷してカウンターに。その軽さに驚きつつ、竹村さんが注目したのは小口だった。常に多用する素材として、小口のディテールは悩みどころだという。通常は塩ビ製のエッジバンドを取り付けるところ、天板と同じプリントが施されている。「ハニカムを削り取って表層の紙を曲げて仕上げています」(町屋氏)。
ハニカムボード製のグランドピアノは内部に電子ピアノを仕込んで自動演奏も可能。チェアもハニカムボード製だが、座り心地も安定している
次のスペースでは、駄菓子屋が再現されていた。壁面、柱、庇、ショーケースにいたるまで素材はすべてハニカムボードである。「設営が容易で、プリントによりオリジナリティーを打ち出ししやすい。次世代の店舗を担う素材ですね」(竹村氏)。
駄菓子屋を模したベレイマージの展示会出展ブース。ハニカムボードにグラフィックをダイレクトプリントして、リアリティーを表現
駄菓子屋でよく見られる木製のケースもハニカムボードにフィルムを巻き込んでしっかりとつくられている
その横には白い囲いがあり、中にちゃぶ台とベッド。「これから提案していきたいのは、災害時の避難者居住用ブースです」との話に、竹村氏は膝を打った。「まさにやりたかったことです」。手軽さ、中空による断熱性や遮音性、カスタマイズの可能性から、「オフィスや自治体の庁舎などの間仕切りにして、非常時には仮設ブースとして活用する。リアリティーがありますね」。竹村氏のアイデアも次々と噴き出す。素材の可能性、加工の確かさが創造力をも掻き立てた。
ハニカムボード製の被災者居住用ブースを前に、竹村氏からさまざまなアイデアが飛び出した
ショールームに近接する工場ではさまざまな素材が並ぶ。「素材を見るとデザイナーの習性で妄想力が働き、滞在時間が長くなります。展示会でも有用な手段です」(竹村氏)
ベレイマージ
- 神奈川県綾瀬市大上1-27-14
- 営業時間 9:00 ~ 18:30
- 定休日 土曜、日曜、祝日
- TEL. 0467-79-7488
- URL. http://www.blimg.co.jp/