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自然で快適な空気環境をつくる除湿型放射冷暖房

2021.09.22 | INFORMATION

熊本のショールーム「PSオランジュリ」。柱まわりや階段まわりに除湿型放射冷暖房「PSHR-C」が設置され、暑さ寒さに悩まされがちな吹き抜け空間であっても効率よく快適な温湿度を提供する


1960年に創立されたピーエス。当時冷房も普及していない日本の空調黎明期において、空調機に内蔵する加湿器を国内で初めて開発・製造した。60年代後半にはスイスの企業と提携し、暖房用のラジエーターや産業用の加湿器を展開、ラジエーター式暖房による冬場の快適性をつくる技術が日本固有の気候性、特に夏場にも応用できないかと開発に着手。



そして92年には世界で初めてラジエーター式の冷房設備を発売、これが業界の先鞭となる除湿型放射冷暖房「PSHR-C」だ。この製品は、室外機で熱交換された水、夏場は冷水、冬場は温水を鋼板でできたフィン状のラジエーター内に絶え間なく循環させ、その放射熱で室内の温度を季節に合わせた快適なものにする。



「PSオランジュリ」にあるかつての金庫室。「PSHR-C」はワインセラーの温度管理設備としても活用され好評を得ており、金庫室内は現在食品庫として使われている
「PSオランジュリ」にあるかつての金庫室。「PSHR-C」はワインセラーの温度管理設備としても活用され好評を得ており、金庫室内は現在食品庫として使われている


一般的な空調機と異なり、ファンによる風や音、匂いなどがないため、送風口近くに起こりがちな寒すぎる・暑すぎるという現象が少なく、音環境やエネルギー効率の点においても理想的な空間を創出する。感染症対策の面でも、ウイルスを含んだ飛沫核をむやみに拡散せず効果的だ。また、夏場の冷房時はラジエーターが結露することで、室内の湿気を適度に取ってくれる。



設置に際しては、空間の形状や施設用途に沿ったゾーニングを考慮し、施主や設計者との綿密なコミュニケーションを経てオーダーメイドする。建築物の特性やその地域の気候に合わせた理想の温湿度環境を提供するためだ。ただ備え付けるわけではなく、パーティションや手摺りとしても機能させるなど、インテリアデザインとの連携も効果的だ。



透析クリニックへの導入事例。開口部近くに「PSHR-C」が設置されている。院内の空気環境を快適に保ち、医療従事者からの評価が高い
透析クリニックへの導入事例。開口部近くに「PSHR-C」が設置されている。院内の空気環境を快適に保ち、医療従事者からの評価が高い


仕上げは粉体塗装で56色から選ぶことができる。同社では体験可能なショールーム機能として、情報センター「PSi」を各地に設置。熊本の「PSオランジュリ」は、1919年に建てられた旧第一銀行熊本支店(登録有形文化財・設計/西村好時)を2001年にリノベーションしたもの。



吹き抜けのある大空間は冬夏の寒暖がきつい。古い建築ではなおさらだが、同社の製品とノウハウによって歴史の重みと新しい技術が共存し、快適で美しい空間を実現し、来場者や地域の人々に快適なひとときを提供している。

ピーエス

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