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エコや社会貢献にアプローチできる「古木(こぼく)」。
建材としての魅力を高め、利用の難易度を下げる取り組みとは?

2018.09.19 | INFORMATION

建築・インテリアデザインの分野において多様な商業空間が生まれている昨今、空間に独特の味わいを与える素材として再注目されている「古材」。中でも、築70年以上の古民家に見られる古材には、今日では入手困難な樹齢100年以上のマツやケヤキといった貴重な部材も多い。それは現在失われつつある、日本古来の伝統技術が凝縮した姿であり、インバウンドの観光資源や集客施設に活用することで、有効にその役割を果たすことができる。


実際、古民家を改築・移築した旅館などは外国人から人気が高く、古民家を活用したカフェやショップも、「おしゃれな場所」という新たな認識が根付きつつあり、若い世代から支持を集めている。こうした古民家の移築・古材市場において、豊富な設計・施工実績や圧倒的な古材の在庫数(常時3500本以上)を誇るのが、株式会社 山翠舎(さんすいしゃ)である。長野の自然に囲まれた環境で、木工所として1930年に創業した老舗工務店で、店舗から旅館、ホテル、公共施設まで、木を用いた空間づくりや造作家具・建具の提案で成長してきた背景を持つ。


同社では地方に点在する古民家を「再生を待つ木立が眠る、もう一つの山」に見立てている。ただ解体しただけでは廃材となるが、柱や梁の1本1本を丁寧に取り外し、属性や特性、その逸話までをしっかり記録・管理することで、「ストーリー性のある素材」として新たな価値を付加し再生することができる。「古材のトレーサビリティ」という全国初の取り組みで管理された材を、同社では「古木(こぼく)」と定義。「古木/こぼく koboku」の商標も取得している。



山翠舎の長野県大町にある自社工場兼倉庫には、その長い歴史の中で培ってきた木材加工や保管の技術が息づく“約800坪の巨大な倉庫”が広がる
山翠舎の長野県大町にある自社工場兼倉庫には、その長い歴史の中で培ってきた木材加工や保管の技術が息づく“約800坪の巨大な倉庫”が広がる


商標取得の取り組みに加えて、注目を集めているのがエコマークの取得である。「古木」は木質部に再・未利用材を100%使用し、接着剤や塗料、木材保存剤を使わないものとして認定を受けた。和・洋のスタイルを問わず、オーガニックをコンセプトとした空間づくりと相性がよい。イメージ優先の「何となくナチュラル・健康的」とは一線を画す、公的機関のお墨付きを得たエコな商業施設として「環境配慮」「資源の有効活用」としてアピールできる。さらには地方に点在し社会問題化している「古民家の空き家問題へ寄与」など、古木を使うという選択が、企業のCSR活動の一環として有効に利用できる。



古民家の解体材を独自のトレーサビリティの仕組みで管理・保管されている「古木」。古木は、そのストーリー性が事業者とそこを訪れる利用者との新たな接点となり、強力な集客ツールとしても役立つ
古民家の解体材を独自のトレーサビリティの仕組みで管理・保管されている「古木」。古木は、そのストーリー性が事業者とそこを訪れる利用者との新たな接点となり、強力な集客ツールとしても役立つ



古民家や古木を商業施設に使いたいと希望する事業者・デザイナーは昔から多かったが、実際に施工までたどり着くケースは少なかった。その理由の一つは、古民家や古木探しには多くの手間と時間がかかること。
例えば、古民家を移築再生するには、事業プランと予算に最適な古木を見つけ出すことから始まり、古民家の入手・解体、古木の搬入、専門の職人による施工(加工)、そして引き渡しまで、実に多くの業者が介入する必要がある。結果、大幅なコストの上昇を招き、アイデアやチャレンジを断念せざるを得ない状況に追い込んでいた。
そこで山翠舎では、必要な古民家のマッチングや古木を用いたデザインの提案から、前述の施工までに至るすべてのポイントを自社で一貫対応する体制を確立。これにより、古木を使った空間づくりでも、従来のコストを大幅に合理化できるばかりでなく、事業者・デザイナーはコンセプトや目指す世界観を同社に共有するのみで済むため、あらゆる時間のロスを解消することができる。


また、長野県大町にある自社工場兼倉庫では、施工現場での工程がスムーズに進むように、プランに合わせて古木を加工する。さらに、実際に倉庫内で古木を設計通りに組み上げるシミュレーションも実施。これにより、現場でのトラブルを最小限に抑えることができるのだ。
都市部の限られたスペース(ビルのテナントなど)での利用や、小売での利用にも柔軟に対応しているが、いずれのケースでも古木の現場加工が、ほとんど発生しない状態で納品していることも特長だろう。
古木は、一本一本、形や太さが異なり硬化していることも多いため、加工には熟練の技術が必要となる。同社には、そうした匠の技術を持つベテラン職人が揃っているため、必要に応じ現場への派遣も行う。


このように、古木の扱い方を熟知していない、設計事務所やデザイナー、職人でも、古木を取り入れる難易度を下げられるように尽力しているのだ。




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山翠舎では日本古来の施工技術の継承者が古木を扱っている
山翠舎では日本古来の施工技術の継承者が古木を扱っている



古木を使いリニューアルした南青山のイタリアンレストラン「ナプレ」。古木をコの字型にくり抜き、鉄骨の柱や梁を覆う施工方法を提案。多彩なノウハウにより、同社ではあらゆる既存の施設にマッチさせることができる
古木を使いリニューアルした南青山のイタリアンレストラン「ナプレ」。古木をコの字型にくり抜き、鉄骨の柱や梁を覆う施工方法を提案。多彩なノウハウにより、同社ではあらゆる既存の施設にマッチさせることができる


他方、同社では古民家の解体材に対する知識や、古木が生むエコシステムを世の中へ発信するため、デザイナーや設計士、施工者に向けたトレーニングセミナーの開催を検討中。「古木の樹種や、空間に取り入れる前に知っておくべきポイントを講習で学んでもらうことで、売り手にも買い手にも正しく古木を活用していただきたいと考えています」と山翠舎代表の山上氏は話す。


また、希望があれば長野県大町にある自社工場兼倉庫で実物を見学できる。興味のある方は広尾にある東京支社で、まずは気軽に話を聞いてみるのもいいだろう。



山翠舎の長野県大町にある自社工場兼倉庫内の様子。多彩なフォルムや色合いを持つ古木の見学が可能。デザインのイメージを広げながらセレクトできる
山翠舎の長野県大町にある自社工場兼倉庫内の様子。多彩なフォルムや色合いを持つ古木の見学が可能。デザインのイメージを広げながらセレクトできる古木に特化した山翠舎オリジナルサイト https://www.koboku.net/



広尾にある東京支社では、大型ディスプレイを用いて遠隔での古木確認もできる。オフィス内には古木の実物もいくつか展示されている
広尾にある東京支社では、大型ディスプレイを用いて遠隔での古木確認もできる。オフィス内には古木の実物もいくつか展示されている


最後に、山翠舎代表の山上氏は次のように話してくれた。
「古木を店舗の内装に効果的に取り入れるには、簡単なマニュアルでは語り尽くせないポイントがいくつもあります。古木の向きや使う場所ひとつとっても、間違ってしまうと空間に違和感が生まれます。また、古木を使ったカウンターや造作家具も当社ならではの提案です。人の心に訴えかける、上質な空間デザインを志向するデザイナーや設計士のみなさんとアライアンスを組んで、私たちの知見を役立てていただきたいと思います」
こだわりの店舗づくりや訴求力のある提案として、古木を使った空間は有力な選択肢となりそうだ。

株式会社 山翠舎(さんすいしゃ)

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