Loading...

id+ インテリア デザイン プラス

インテリアデザイン・建材のトレンドを伝えるメディア Presented by 商店建築

サンワカンパニー×トラフ建築設計事務所

2018.09.03 | INTERVIEW

建築的な思考をベースにインテリアや展覧会の会場構成、プロダクトデザインなど、境界なくさまざまなプロジェクトを手掛けているトラフ建築設計事務所の鈴野浩一氏に、サンワカンパニーの製品について、導入事例を通してその印象を聞いた。

使われる空間を意識し、デザインされた建築資材達

1979年創業のサンワカンパニーは、キッチンや洗面台、バスタイルなど水まわりの製品、フローリングや建具といった建築建材の企画開発、輸入、販売を行う総合メーカーである。スタイリッシュなデザインのオリジナル製品の数々は、グッドデザイン賞やiFデザイン賞、レッド・ドット・デザイン賞など権威ある賞を次々と受賞。国内外で高い評価を獲得している。

空間にぬくもりを添える木の質感

サンワカンパニーでは、キッチンや洗面器具などの水まわり製品の他、床材や壁材をそろえる。2016年4月、2年半の期間限定で開設された東京・六本木の「スヌーピーミュージアム」では、サンワカンパニーの複合フローリング「ウズック」が敷き詰められている。ギャラリーやショップ、カフェの三つの要素で構成された館内の全面に「ウズック」を採用した理由について、鈴野浩一氏は次のように語る。「床面積420㎡とそれ程広いギャラリーではないので、展示空間に限らず、ショップやカフェ、トイレに至るまでのミュージアム全体(延床面積1475㎡)をスヌーピーのための空間と捉え、随所にキャラクター達と出会える仕掛けを施しました。このコンセプトを感じてもらうために、全面を同じフローリング材で統一することで、それぞれのシーンをつないでいます。床が、用途が異なる空間に一体感を生み出す役割を果たしているのです」


ショップ「BROWN’S STORE」。「ウズック」シリーズは、アクリルウレタン樹脂UV塗装を重ねたことで耐久性を備える(撮影/阿野太一)
ショップ「BROWN’S STORE」。「ウズック」シリーズは、アクリルウレタン樹脂UV塗装を重ねたことで耐久性を備える(撮影/阿野太一)


「ウズック」は厚さ4㎜の厚単板を用いたフローリング材。うづくり技法により木目が美しく浮かび上がり、本物の木ならではのムラやテクスチャーが空間にぬくもりを与える。「『ウズックナチュラル』は壁面の白色と相性が良く、全体を優しく温かな雰囲気でまとめることができました」と鈴野氏。加えて、同製品はアクリルウレタン樹脂UV塗装を8回施しており、無垢の風合いを醸しながら、ピンヒールにも対応する程表面硬度が高く、傷が付きにくいという特長を持つ。反りや割れなどのリスクも少なく、「スヌーピーミュージアム」でも多くの来場者の足元を支えている。


建物外観。建築からトラフ建築設計事務所が手掛け、18年9月までの期間限定のミュージアムとして開館した(撮影/阿野太一)
建物外観。建築からトラフ建築設計事務所が手掛け、18年9月までの期間限定のミュージアムとして開館した(撮影/阿野太一)


築100年以上の町屋文化と先端企業の融合を目指した地方創生事業の一環として、17年に新潟県に開設された「テラスカイ 上越サテライトオフィス」。その内部空間にも、サンワカンパニーの床材「ホワイトオーク オイル塗装ユニタイプ」が採用されている。「歴史ある古民家の再生につながるプロジェクトだったので、新旧が混ざり合うような空間を意図しました。また、冬は寒さが厳しい地域のため、床の色味や肌触りにはこだわり、ホワイトオーク無垢材のぬくもりが感じられるフローリングを選択しました。近年、フェイクの建材が増えていますが、やはり本物の木が持つ表情は魅力的です」


町家を改修した「テラスカイ 上越サテライトオフィス」。土間の奥に広がる小上がりスペース、2階の執務室などにサンワカンパニーの「ホワイトオーク オイル塗装ユニタイプ(FL19329)」が使われた。既存空間に寄り添いながらぬくもりを添えている(撮影/阿野太一)
町家を改修した「テラスカイ 上越サテライトオフィス」。土間の奥に広がる小上がりスペース、2階の執務室などにサンワカンパニーの「ホワイトオーク オイル塗装ユニタイプ(FL19329)」が使われた。既存空間に寄り添いながらぬくもりを添えている(撮影/阿野太一)


インテリアの意匠を損ねることなく空間へと溶け込む洗面ボウル

「サンワカンパニーは、水まわりのプロダクトもデザイン性が高いと感じています」と鈴野氏は続ける。17年12月、東京・青山のキラー通り沿いでリニューアルオープンした眼鏡店『MASUNAGA1905』では、ステンレスにハイブリッド塗装を施した洗面ボウル「カーラ400ホワイト」が採用されている。来客が検眼などの際、清潔な手でコンタクトレンズを着脱できるように、という配慮から備えられた。


東京・青山の「MASUNAGA1905」は、福井県鯖江市を本拠とする増永眼鏡の直営店。写真奥が検眼などを行うオープンスペースで、ミラー背面に洗面システム「カーラ400ホワイト(WA28011)」が設置された(撮影/太田拓実)
東京・青山の「MASUNAGA1905」は、福井県鯖江市を本拠とする増永眼鏡の直営店。写真奥が検眼などを行うオープンスペースで、ミラー背面に洗面システム「カーラ400ホワイト(WA28011)」が設置された(撮影/太田拓実)


「この洗面ボウルを初めて目にしたのは、15年度から3年間担当した、グッドデザイン賞の審査員としてでした。受賞展『GOOD DESIGN EXHIBITION』では住環境エリアの会場構成も手掛け、目を引くデザインが、受賞作品の中でも強く印象に残っていました。その後、知り合いのデザイン事務所に設置されているのを見て、エッジの効いたディテールの美しさを再認識し、『MASUNAGA1905』で採用に至りました」と鈴野氏。そのミニマルなたたずまいは、商品である眼鏡の存在感やインテリアの意匠を損ねることなく、店舗空間へと溶け込んでいる。更に同店では、店内のトイレにも、人工大理石でカウンターと手洗いボウルを一体化した「レプトカウンター」が配されている。


「カーラ400ホワイト」は、金属加工の技術を組み合わせて、薄くフラットな面で構成した洗面ボウル。ステンレスに無機と有機のハイブリッド塗装を施しており、高硬度で耐汚染性に優れる
「カーラ400ホワイト」は、金属加工の技術を組み合わせて、薄くフラットな面で構成した洗面ボウル。ステンレスに無機と有機のハイブリッド塗装を施しており、高硬度で耐汚染性に優れる


「僕自身、スキンケアブランドのショップデザインを手掛けており、商品を試すための洗面台を一からつくることが多いです。その際、空間の意匠に寄り添うデザインを常に心掛けています。サンワカンパニーのオリジナル製品は、シンプルで洗練されたミニマルなディテールを持つ。単体のプロダクトとしてではなく、空間で使われることを意識した、完成度の高いプロダクトがそろっているという印象があります」

同社は16年より、ミラノサローネ国際家具家具見本市と同時開催される、国際キッチン見本市「エウロクチーナ」に出展しており、デザイン性の高さが国内外で評価されている。



サンワカンパニー デザインアワード2018
施工事例コンテスト募集中

住宅のみならず、店舗事例や海外施設も応募が可能。過去には宿泊施設やオフィスなどの受賞もある。締切は2018年10月31日。応募要項は下記ウェブサイトを参照のこと。

TEL:0120-468-838
URL:https://www.sanwacompany.co.jp/designaward/

鈴野浩一
トラフ建築設計事務所

RELATED ISSUES

一覧に戻る

PAGETOP