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ハイドロソリッド+ 池貝知子 日本人の感性に合うデザインの“柔らかさ”

2017.10.10 | INTERVIEW

TOTOの「ハイドロソリッド」は、大型磁器陶板としてこれまでにない新しい表情を持った素材だ。フラグシップ製品である「KOTAN」と「KANKA」のデザインには、伊・ラミナム社との共同開発によって、高い機能性を持つセラミックでありながら、「日本らしさ」をデザインコンセプトに自然や伝統工芸に見られる日本的な風情をフィーチャーした。何かに似ているようで、既存の素材とは全く違うという一種のパラドックスがデザイン的な奥深さを感じさせる。 「二子玉川 蔦屋家電」(15年8月号)や「B&B ITALIA 東京ショールーム」(16年7月号)といった、ハイクラスなライフスタイル提案型ショップのインテリアデザインを手がけるアイケイジーの池貝知子氏に、ハイドロソリッドの魅力を聞いた。

ハイドロソリッドの特徴の一つがそのデザイン。「KOTAN」には水墨画の滲みやぼかし、左官の櫛引をモチーフにした繊細さ、「KANKA」では鋳物を思わせる力強さや織物のようなテクスチャー感がある。さらに色味とも相まって、自然の風景のような陰影をつくる。そのデザインの印象を池貝氏はこう語る。



KOTAN ―コタン
KOTAN ―コタン


KANKA ―カンカ
KANKA ―カンカ


池貝 ー 大型陶板はヨーロッパから始まって、日本でも向こうのデザインのものが数多く輸入されています。ヨーロッパのものは、大理石を模したりして、少しわざとらしい。いかにもデザインしましたという人工的な雰囲気を感じてしまう。それらと比べると、優しい感じというか、自然なテイストで、日本人の感性に合っているでのはと思いました。硬い磁器なのに表情に“柔らかさ”があるのが面白いですね。



3m×1mという大判でプレス成型して造られるハイドロソリッドは、厚さも5.6㎜、表面と断面も同系色で内装で使いやすい。さらに昨年9月からは国内生産による「MUKU」と「SUZU」のシリーズも展開。こちらはよりプレーンでベーシックなアイテムだ。実際に使うとすればどんなシチュエーションになるだろうか。



池貝 ー やはり、このサイズを生かして大空間で使ってみたいですね。タワーマンションのエントランスホールでもいいですし、最近は商業施設も天井高が高くなっています。(「KOTAN」と「KANKA」は)全体にシックで、ダークな落ち着いた色調ですから、商業的な空間が合うと思います。ホテルなどの公共施設とはマッチングがいいでしょう。 一例として、現代的な和室で床の間の壁にポイントとして使うと、とても映えるのではないですか。イメージが湧きます。キッチンのカウンターバックなどもいいかもしれません。 「MUKU」や「SUZU」は逆に明るめの色も多いので、住宅のお風呂の壁はどうでしょうか。目地が多いのは嫌がられますから、これなら下から上まで1枚でいけます。樹脂やシート材と比べると、素材としての上質感も申し分ないです。



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ハイドロソリッドは“柔らかさ”のある表情ながら、工業製品としての精度と品質も備えている。セラミックが持つ耐傷性、耐水性、耐薬性などに加え、TOTO独自のハイドロテクト技術によって、抗菌・抗ウイルス作用も発揮される。



池貝 ー 質感があって、精度が高いということは重要ですね。職人の手業や自然素材ももちろん素晴らしいですけど、出来上がってから「イメージと違う」と言われてしまうのは、やはり大変です。施工の再現性というのはクライアントにも大きくアピールします。また海外の大型陶板は種類はたくさんあるのですが、小さいサンプルしか見られないことも多いので、ショールームなどで施工展示をお客さんと一緒に見られるのもいい。抗菌作用とか清掃性の良さも気に入ってもらえるでしょう。特に住宅のお客様だとクリンネスには非常にこだわる方が多いです。 “柔らかさ”があって拭けるってすごいことですよ。そんな素材他にないですからね。


池貝知子(いけがい・ともこ)
株式会社アイケイジー代表取締役。1990年日本女子大学卒業後、松田平田設計入社。2004年アイケイジー設立。2005年より日本女子大学家政学部住居学科非常勤講師。

TOTO株式会社

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